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WARUMONインタビュー 不良牧師 アーサー・ホーランド

プロフィール


アーサー・ホーランド
1951年 大阪府にアメリカ人の父、日本人の母のあいだに生まれる。
日本でハイスクールを終えた後、父の国アメリカへ。
全米レスリング選手権チャンピオン(サンボ)2回
パンアメリカン選手権大会銀メダル。
全米柔道選手権3位。
1974年 23才で洗礼を受け牧師となる。
1982年 伝道のために帰国。
1988年 ソウルオリンピック選手村の公認チャプレンをつとめる。
1989年 新宿歌舞伎町でのユニークな辻説法が話題になり、「PHP」や「KKロングセラーズ」から本が出版される。
1992年 日本列島横断十字架行進を決行。7人で150日間、数十キロの十字架を担いで走破する。
後に韓国・アメリカでも同様のパフォーマンスを繰り広げ、数名の元暴力団員が行進に参加。
1997年 モーター・サイクル・クラブ「ザ・ロード・エンジェルズ」を設立し、北海道から沖縄まで日本全国9支部を展開、多くのバイカーのフォロアーを持つ。
2012年 再び日本列島十字架行進を決行。沖縄から北海道まで2985キロを半年かけて走破。
2013年 四国一周十字架行進を決行。
2014年 アメリカ横断十字架行進をハワイをかわきりに3月5日からスタート。現在行進中!!

モデル・俳優としてもマスコミや映画などに出演。
著書に文藝春秋発行「不良牧師・アーサーホーランドという生き方」、芸文社発行 写真集「アイ・アム・アーサー!」、ゴマブックス発行「エッセイ Words of Love」、 アイシーメデックス発行「不良牧師Ⅱ」他多数。
愛馬ハーレー・ダビッドソンとホンダ・ゴールドウィングで日本中を駆け巡り、200回を超える講演会をこなす。

アーサー・ホーランド オフィシャルサイト
オフィシャルブログ

現在の日本の刺青事情について


―自分がアーサーさんを初めて知ったのは、彫師になる前だから15年以上前だと思うんですが。刺青雑誌の特集記事なんです。
ハーレーに乗ってる方たくさんと一緒に写っていて。その切り抜きを自分の兄が壁に貼っていまして。自分は兄がきっかけで刺青入れて彫師になってますから、ある意味アーサーさんは自分の彫師になったきっかけなんです。(笑)

アーサー:そう!それもまさにジーザスの導きだね。
十字架背負って歩いている時も、「タトゥー雑誌見て、負けた。と思いました。ファンです。」とか言ってくる人がいたりしてね。勝ち負けじゃないと思うんだけど。(笑)

―自分くらいの世代の刺青入れている人間は、アーサーさんのライフスタイルに影響受けている人相当多いと思います。
そんなアーサーさんにインタビューさせて頂くのは恐縮なんですが、アーサーさんが初めてタトゥーを入れたのはいつ頃なんでしょうか?

アーサー:俺はクリスチャンの牧師になってから入れてるんだよ。
富士山登る時の1合目2合目のスタンプみたいなもんで、色んな所で閃いたら、「じゃ、彫って。」みたいな感覚で。
だから5、6人の人達が彫ってくれてる。

―何歳くらいからですか?若い頃はスポーツ選手やってましたもんね。
アーサー:40代の半ばかな。
だから、元ヤクザの牧師が若い頃刺青入れて、今牧師になって後悔してる。っていうのとは全然違う。
本当はね、彫られた奴が、生き様で見せて、周りに納得させる人間にならないといけないと思うの。

―日本だと刺青に対する偏見ってすごいですよね。
日本の社会は、刺青イコール暴力団っていうパターンがしみ込んでいるわけ。
俺だって、講演で地方に行くと、ある教会の牧師がちゃんとファミリー風呂取っていてくれたりするわけさ。(笑)

―あれ変ですよね。アーサーさんどう見ても暴力団には見えないですよね。
アーサー:俺トレーニングしてるんだけど、ジムでは長袖着てるわけ。
別に恥じているわけじゃなくて、問題をとやかく言われるのが煩わしいから。

でもアメリカではNBAの選手が首から顔まで(タトゥーを)やってる。
俺の友達でサモアの奴は、大人になった時に、親が「これからお前が自立していくなら、刺青入れて出ろ。」って。彼らは顔にも入れるけど。そういう文化なんですよ。
そういう人達がトレーニングジムに来たら、覆面してやれ。ってことになるのかね?
日本の非常識な常識が常識になっている。
アメリカなんか行けばね。軍隊でも自分のバタリオンの名前とか、ガールフレンドの名前なんかをみんな彫ってる。命かけて生きてる奴らがアイデンティティとして受け入れて体の一部として持っちゃっている文化。
結局、日本はそのことに対して十把一絡げに、ダメだっていうのに疑問も持たないで、理解力も無い状態がずっと続いている。

ファッションでやって、後で保険に入れないからなんて言ってとったやつとか、ボクサーでボクシングやりたいから消すとか。色々とあるのかもしれないが、俺には理解し難いね。
外国じゃバスケットだって、オリンピックの選手だっていっぱいいるじゃん。

不良牧師と呼ばれて


―アーサーさんは、いつも革ジャン着てるイメージですごく恰好良いんですけど、牧師さんなんですよね?
アーサー:うん。俺はキリスト教会の牧師。
一般の人には牧師象っていうのがあるけど、俺は宗教バッシングしながら、その本質を表現している人間だから。

本来は素晴らしいものとして、宗教というものがあったのかもしれないけど、それがスピリットがなくなって、空気の抜けたタイヤのように魅力を無くしてしまっている。
偽善者の群がる場所が宗教の人達だっていうイメージすらある。
逆に、素直な堕落者の方が、熱心な偽善者より輝いて見える時もある。
そういうものを感じながら、何が善で何が悪なのか、ある意味でタブーを通して表現することになったんだよね。

でも日本では、固定観念と曲がった伝統がずーっと続いていて、それが腐り果てて化石のようになってるのに、その人たちは気づかずに、まだそこから伝えようとしていて。結局は誰も振り向かない。
本来、宗教や神を信じるっていうことは、救われるとか自由になることなんだけど、自由になるわりには、自由だっていう人は不自由だよな。
神は愛だっていう人の、その言葉は解るけど、お前見てると愛解らなくなるな。っていう奴がいっぱいいる。
1%弱のクリスチャン人口は変わらずにいる。っていうところを見て反省すればいいのに、「世の中は堕落している。」って片付けてしまって。「問題はお前だろ?」っていうところに気付かない。

―なんだか一般社会の話しとも似ているような感じがしますが。
社会の真面目な、一生懸命熱心に組織の中で働いている奴らも、俺からすれば宗教の奴らと同じような顔してるわけ。
要するに囚われているっていうかね。

固定観念の中で生きてる奴って輝いてねぇの。だから魅力が無いわけ。
結局アウトローっていうのは、世間体とかうんぬんとかじゃなくて、「世の中の常識が非常識かもしれない。」っていう、逆説的な発想の中で生きる奴なんじゃないのかなと思う。
勿論、少しは常識わきまえたほうが良いけどね。(笑)

俺にとってキリストっていうのは魂のロッカーであり、侠客の中の侠客なの。
だって義理と人情をうたうヤクザ映画の中で、俺たちが魅力を感じたのは、高倉健、菅原文太、鶴田浩二の侠客象だった。
俺たちが憧れたのは侠客なんですよ。月光仮面みたいな正義の味方じゃなくて、仁義に生きるっていうことは義理を大事にするってことだからね。

バプテスマのヨハネは「ジーザスは罪を取り除く神の子羊」って言ったんだよね。
多くの人が意味解らずに十字架のネックレスしてるけど、あれは、俺たちの罪を贖ってくれたっていう意味。
本当の親分ていうのは、子分のために命を捨てるんだ。
剣の達人が、清水の次郎長親分に、「親分さんは子分がたくさんいらっしゃいますが、きっと子分のみなさんは親分さんのために命捨てるでしょうね。」って言った時に、「いや奴らは俺のために命捨てないだろう。でも俺は奴らのために命捨てるよ。」って言ったその粋な生き様が多くの子分に、この人についていきたいって思わせたわけさ。
でも多くの親分は子分を虫けらのように扱って、盾にしながら、己だけが良い思いだけしているのが、今の多くの暴力団の親分さんたち。

俺の集会にもヤクザの親分くるんだよ。
そういう人なんかに、「親分さん、俺は小さい頃侠客に憧れたんですよ。でも今侠客のような人ってあんまり見かけませんよ。侠客の親分になってくださいよ。侠客の親分になるなら“魂のロッカー、侠客の中の侠客、義理と人情の源、ジーザス”しかいないですよ。」ってね。

―おお、それはすごい。
そしたら、アーサーさん今日は燃えました。って。(笑)
私も良いヤクザになりますって帰るんだよね。

「そいつがどんな犯罪者だろうと。」


俺は、お前の言ってるアウトローとか不良とか、そういう闇の世界の人達の方が光に近いと思ってるわけ。
常識的人間で、光の中にいると勘違いしてるやつらは、自分たちは真面目に生きてるって言いながら真面目な奴なんていないんですよ。みんな欠点あるし。
仏教的に言うと、罪業深重の凡夫なんだよね。
―全然解らないですけど。
要するに、みんな罪をもっている愚かなものなんです。(笑)

案外ね、真面目な奴達は偽善者の方になっていって。どうしようもない奴だって案外素直にどうしようもない生き方してんだよ。
その素直さが、愛されるに値する大切な要素なんですよ。
ジーザスは正しい奴を招くために来たんだじゃない。罪びとを招くために来たんだ。要するにアウトローを招くために来たんだって言うんだよね。
法律に従っている奴らが善人なんじゃなくて、法律に従っていない奴の方が善人に近いのかもわかんない。っていう俺の中の発想なんだよね。

―そういうやつらどんどん来いよ。っていうのがまさにアーサーさんの活動ですもんね。
そういうタイプの人が、俺の本読んでくれたりして、何か感じるって言ってきてくれることがあるけど。 そういう奴らっていうのは、今まで「お前はどうしようもない馬鹿だ。」とか「もうこの世の中で通用しない。」とか小さい頃から言われてきてる。叩かれて傷ついて、だからヤクに走ったりトラウマ持ったり、強い者になろうとしてヤクザに憧れたりする。
実は結構寂しがり屋で、デリケートで繊細で、傷持ってる奴が多いんだよ。
見えない大いなる存在を信じること。また俺たちがそれを信じていることを伝えていくには、まず俺がそいつを信じてあげないといけないんだよ。
俺は、「みんな良い部分必ず持ってるから。そこを開花させれたら、こいつの中の魅力はマグマのように爆発するな。」っていつも思ってる。

世の中の恐ろしさっていうのは、そういう良いところを見ないで、うわべだけで人を持ち上げては、下げていくっていうところ。
そいつらこそ人間としてカスだなと俺は思うわけさ。
人間って、そんな扱いするもんじゃねぇ。人間は物じゃないんだから、尊厳っていうものがあるんだ。
そいつがどんな犯罪者だろうと。

「もう俺はキリスト教はおさらばだ。俺はキリストと生きるんだ。」


俺の背中の和彫りは、十字架に龍がまきついてる刺青なんだけど。
俺にとっては、「もう俺はキリスト教はおさらばだ。俺はキリストと生きるんだ。」っていうひとつの象徴なんだよ。

―ん?キリスト教をやめて、キリストを信じてるってどういうことですか?
キリスト教っていうのは、俺にとっては宗教なの。キリストっていうのはまさに粋な侠客。その存在を心に意識して生きるんだということ。
でもそれを人に押し付けようとは思わないよ。
俺の生き方が魅力と感じた奴が、俺から洗礼を受けたいとか言うなら導いてあげるけど。

俺の集会に浄土宗の僧侶も来るんだよ。
そいつと友達なんだけど、俺、親鸞、蓮如、大ファンだ。親鸞、蓮如、法然も、他力本願、自然法爾とか。これは俺からすれば聖書のAmazing graceと同じ。
だから、本質的には俺たち同じものを信じているんだと思ってる。
で、「お前は浄土宗という枠の中で表現したいなら、立派な僧侶になれよ。」って。
「俺は俺で、俺の中にあるもの表現していくから、でも俺はお前の兄弟だよ。」って。
だから俺、浄土宗の僧侶の尾張地区大会にも呼ばれて講演すんの。
そこに矛盾は無いの。
お前の信じているものがお前を魅力的にすんなら、それで良いんだって。
ハーレー良いよな、カワサキ良いよな。じゃなくて、ブランド超えて、「二輪にエンジンついてる乗り物って良いよな。」って話し出来ればいいのに、なんで宗教の奴らって神とか仏って良いよなって話しできねぇんだろうって思う。だから型にはまっちゃってる。

―やっぱアーサーさんのお話しは任侠映画とかバイクとか例えてくれるから解りやすいですね。
アーサーさんのプロフィールには、伝道のために帰国31歳ってありますが、この頃からそうなんですか?


アーサー:いや、違う。全然違う。
その頃は若い牧師と同じ。みんなそこからスタートするんだよ。
矛盾を感じながら苦しんで、いろんな他宗教の人達がいて、いろんな人間がいる中、自分が信じているものは正しいんだと言っているんだけど、でもそうじゃない人にも魅力的な生き方を持っている人達がいる。
そういう人達にも、自分が信じてる存在は生きて働いて、そいつは自分が意識するように意識してないにしても、意識している本質は同じもんなんだって見えるようになってきたんだね。

でもそれには、柔道習う時でいう受け身や前方回転をやらないといけない。それはベーシックだから。

ミッションバラバ結成から近況について


―アーサーさんが十字架担いで日本列島縦断をしたらヤクザがついてきたということなんですか?
アーサー:そうだね。教会に人が来ないなら人のところに教会を持っていこう。教会は持っていけないけど、でかい十字架なら持って行けるだろうって。
彼らには歩きながら、動く神学校みたいに、朝起きて祈り会とか、体育会系のノリで鍛えたのよ。
俺たちは義理と恩義を忘れないバラバになろうぜ。って、【ミッションバラバ】と名づけた。

―今は一緒に活動されていないんですか?
あるところになったら、「もう俺の役割はここまでだな。」っていうのが来たわけ。
「お前達はお前達でやんな。」って、脱皮の時ってのはあるんだよね。

それから、バイクに乗って日本中かけずりまわるようになったら、結局バイクは60万キロ乗った。世界を15周回るような距離になっちゃった。
そしたら【ロードエンジェルス】っていうバイクのチームができて、それが日本中に9支部くらいできたの。
そこには、元暴走族とか暴力団員がたくさんいる。例えば、四国のバイクチームのメンバーはほとんどが元暴力団員。みんな【ロードエンジェルス】として頑張ってくれている。

―楽しそうですね。アーサーさんにはそっちの方が合ってる気もしますね。
アーサー:そう。時だったんだよ。人間は執着心を持って居座りたくなるけど、かたちになったら芸術家っていうのはそれを忘れて壊して新たなものを生み出さなきゃいけない。
俺がリーダーやっててメンバーが増えて、時が来る。
ひとつのものをずっと保つ人間じゃないんだよ。
誰もやらないことをスタートして、できあがったら残して、また次のことをスタートする。っていうね。
それをやっていくのが俺の生き方なんですよ。

―今後もたくさんの方の力になっていってください。応援しています。
俺はこうやって言葉で表現するアーティストだと思ってるから。
「言葉の筆によって、普遍的なスピリットあなたのハートのキャンバスに描くアーティスト」って言ってんだけど。
その描く心のキャンバスを、お前が差し出してくれなきゃ俺は描けないよ。って。
だからライブっていうのは、結局そういう求めてる奴が心を開いて、俺の筆をキャッチしながら、コミュニケーション取れるかっていうね。
ロックのコンサートだってみんなが一体になることが、エクスタシーだから。
そこで何か感じてそれが励みとかインスピレーションになって、そいつの生き方に何か、新しいというよりも、そいつの中にある神から与えられた“そいつを輝かせるもの”に気付かせるきっかけになれれば良いと思ってる。
だから俺は気付かせ屋になりたわけ。
そして己も気付いていきたい。

取材後記


本当に、彫師になる前の10代の頃。もう15年くらい前から憧れていた人だった。
とにかく格好良い。こんなに格好良い人なかなかいないと思う。
実はもっと怖い人かと思っていた。ハーレーにも宗教にももっと頑固な人だと。

ところがお会いしてみるとアーサーさんは、なんだかすごくやさしいオーラを持った人だった。
一言で言うならアーティストしてるなと感じた。宗教家として語っているその言葉は書き出してみるとロックの曲の歌詞のようだった。
その言葉は豊富な人生経験に裏付けされて確信的で。歩く図書館のような博識ぶりからエキサイティングに広がった。

Interviewer Profile
彫昌(ほりしょう)
東京都豊島区池袋で彫師として活動中。
WARUMONの編集長として、数多くの著名人にインタビューを行っている。
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